「経理はHSPに向いてる」そう書いてある記事を、私も何度も読みました。
数字と向き合う仕事だから。一人で集中できるから。人と話す機会が少ないから。
たしかに、そうなんです。私も向いていると思っていました。
でも私は、経理職として5年働いて、適応障害になりました。
この記事では、経理がHSPに向いている理由と、それでもしんどくなってしまう瞬間、そして長く働くために何ができるか自分なりの見解をまとめました。
この記事でわかること
- 経理がHSPに向いていると言われる理由
- 経理職でHSPがしんどくなる瞬間
- 私が5年目に適応障害になるまでの経緯
- 経理×HSPが長く働くためにできること
- 簿記資格が経理以外でも活きる場面
※この記事は私個人の体験です。同じ経理職でも会社によって環境は大きく違います。体調に不安がある方は、無理をせず医療機関にご相談ください。
経理はHSPに向いている理由とは
経理事務はHSPと相性の良い仕事です。ただし職場環境によっては、その強みが弱みに変わることがあります。実際に5年間働いてみて、「これは自分に合っているな」と感じた部分は確かにありました。ここでは、経理という仕事のどこがHSPの特性と噛み合うのかを、私の実感を交えて3つ紹介します。
数字と正確に向き合う作業が得意
よく聞く「数字はウソをつかない」という言葉。
これ、その通りだと思います。
私が経理がHSPに向いているなと思ったのが、
- 小数点以下のズレが気持ち悪くて放置できない
- 「たぶん合ってる」で終わらせられない仕事
- 何度も見返してしまう性格が、ここでは長所になる
といった、細かい作業が苦にならない点です。
というのも経理の仕事は、1円でも合わないと終われません。普通に考えたら面倒な話です。でも私は、この「1円まで合わせる」作業が嫌いじゃなかった。むしろ、1発で合った瞬間がいちばん気持ちよかったんです。たとえで言うと謎解きのような面白さがあります。
人からは「よくそんな細かい作業できるね」といわれたもんです。でも細かいことが気になってしまうのは、HSPの人にとっては努力じゃなくてデフォルトなんですよね。普段は「気にしすぎ」と言われてしまう性質が、経理では「真面目な人」に変わる。
普段は短所として扱われるものが、ここでは長所として数えられる。
これは、経理という仕事の大きな魅力だと思います。
YODAKA地味な作業ほど落ち着くんだよね、これ。人と話すより電卓叩いてる方が気がラク



経理は「正確さ」が評価軸になる仕事なんですよ。スピードや押しの強さより、ミスの少なさが信頼につながる職種です
一人で集中できるルーティン業務が多い
経理事務は、基本的に毎月やる仕事が同じです。
たとえば、
- 月次の締め作業
- お金の動きを入力する
- 社員が使った経費を記録してお金を返す
といった、一度覚えてしまえば毎月繰り返しの作業が多いです。
もちろん会社の規模や業種にもよると思いますが、経理の仕事は「月次締め、支払い処理、伝票の整理」これが共通しています。流れが決まっているというのは、転職した時も安心材料になります。
営業職のように「自分で仕事を取ってきて顧客ごとに提案して、毎月ノルマを達成しなさい」というミッションがないため、気持ち的にもすごくラクです。私は、このルーティン作業にすごく助けられていました。
営業職の友人がいるんですが「明日お客さんとゴルフ行かなくてはいけない」と言っていて、それを聞いたときは正直ゾッとした。私には無理だなって。もちろんその日は仕事になるので、代休を取れるそうなんですが。突発的な仕事を振れると慌ててしまうから、なおさら、ルーティン作業の方が安心感があります。
定時で帰れることが多い
経理職は定時で帰れることが多いです。
一日の流れが自分でコントロールできるため「これは明日やろう」ができます。私も在職中はほぼ定時で帰宅できて、残業をした日は数えるくらい少ないです。
残業代で稼げる職種もありますが、私はどちらかというとプライベートの方を重視するタイプ。給与が低くても良いから、定時で帰れる仕事を選びたい考えです。
有給・産休・育休など、ライフイベントに合わせて取得する方も多く、働きやすい一面もあります。
経理職でHSPがしんどくなる瞬間


ここまで読むと「じゃあ経理は最高じゃん」と思うかもしれません。私も途中まではそう思っていました。でも、仕事の中身が合っていることと、その職場で健康に働き続けられることは、まったく別の話だったんです。ここでは経理職でHSPがしんどくなる瞬間を3つ紹介します。
決算期・月末月初の緊張感でピリつく
- 締め日が近づくと事務所の空気がピリつく
- ミスが許されない時期に、確認する回数が増える
- 終わるまで帰れない日が続く
月末月初と決算期。
経理の人なら、この言葉だけで胃が痛くなる人もいると思います。
数字が合わないまま時間だけが過ぎていく感覚。周りも忙しいので、聞きたくても聞けない。
営業さんが伝票を出してくれない、領収書がない、金額が書いてない。
自分以外のことで仕事が遅くなることもありました。
前回アンケートに回答してくれた方の声です。


月末月初になると忙しい経理事務をやっていた時、残業してほしいと言われ、みんなも残業していたので断れなかった。そのせいで帰宅するのが遅くなり、家事がおろそかになって自分を責めた。(あっすんさん・30代後半・女性)
「みんなも残業していたので断れなかった」——これ、痛いほどわかります。
自分だけ帰るのが申し訳ない。そう思ってしまうのがHSPの方に多いですよね(私がそう)
で、帰宅してから「家のことが何もできてない」と、ため息。



断れない性格、ここでも出るんだ……
家族経営・昭和気質の職場特有の空気
中小企業の経理職は、独特な空気感です。
- FAXが現役で、電話も鳴り続ける
- 男性が意見を言い、女性が黙って作業する
- 飲み会はほぼ強制参加
私が勤めていたのは、40人規模の家族経営の会社でした。昭和気質、という言葉がぴったりの職場です。今もFAXが現役でメールで済む話を、印刷してFAXで送る風習。飲み会は「参加は自由」と言いながら、参加しない人は翌日話題に置いていかれる感じでした。
こういう空気って、パワハラと呼べるほど明確な何かがあるわけじゃないのになぜか消耗する。
業務内容が向いていても、社風が合わないと働き続けられない。
HSP113名へのアンケートでも「人間関係」が最も多い悩みでした。
HSPが会社を辞めた理由(複数回答)
独自アンケートに答えてくれたHSP113名のうち、記事掲載に同意いただいた95名の回答より
これは経理に限らず、どんな仕事にも言えることなのかもしれません。
このアンケートの詳しい中身は、こちらの記事にまとめています


産休育休の穴埋めが大変だった
人を雇える企業もあれば、少ない人員で回すところもあります。
実際、私の職場では立て続けに産休育休に入った方が2名いました。派遣社員を雇う余裕もなく、「あなたもいずれその時が来るんだからお互い様でしょ」ということで1人で仕事をすることに。「女性の穴埋めをなぜ女性がしなくてはいけないのか?」ずっと謎でしたし、仕事量が増えたからと言って給与は据え置きのまま、不満が溜まりました。
「独身って損じゃない?」
「なんで子持ちさまだけ優遇されるの?」
怒りの矛先を会社ではなく、本人に向けたこともあります。意地悪を言うとかではなく、ムッとした態度とかに示していた(反省)。結果的に「独身VS子持ち」の対立した状態になってしまい、関係もこじれてしまいました。
産休育休が取りやすい会社=自分もフォローする側になるかもしれない。
これを忘れていたんですよね、ははは。
会社に言えば良かったんですが「まだできる!まだ大丈夫!」当時の私は麻痺しちゃってて、しんどいことを伝えると評価に響くと思っていた。だから言えなかった。
女性が多い職場の人間関係については、こちらでも書きました


経理職で適応障害になるまでの経緯
ここからは、私が実際に体調を崩していった経緯を書きます。読んでいてつらくなりそうな方は、この章を飛ばして次に進んでもらって大丈夫です。同じような状態にいる方が「これ、私かも」と気づくきっかけになればと思って書いています。
新人時代〜3年目:そう言うもんだで流せられる
経理の正社員として入ったのは、大手で派遣社員を1年やりながら日商簿記2級を取ったあとでした。
- 覚えることは多いけど、教わった通りにやれば形になる
- 月次が1発で合った日は、それだけで機嫌がよかった
- しんどい部分はあったけど、「そういうもんだ」で流せていた
転職エージェント経由で決まった、40人規模の会社。
正直、受かったときは嬉しかったです。私の場合は、日商簿記3級だと「実務経験がない」で落とされ続けてきました。なので経理の正社員という肩書きは、「ようやく手に入れたぞ!」の達成感でいっぱい。
最初の1年は、とにかく覚える時期。
伝票を入力して、経費を精算して、月末に締める。
先輩に聞いて、手順をノートに書いて、次はそれを見ながらやる。
地味なんですが、この「やることが決まっている」感じが、私にはすごく合っていました。2年目、3年目になると、だいたい一人で回せるようになります。月次が1発で合った日は、帰り道の足取りが軽い。
残業もほとんどなくて、定時で上がって、スーパーに寄って帰る。
しんどい部分はありました。でも当時は「そういうもんだよね」で流せていたんです。
今思えば、流せていたんじゃなくて、まだ余力があっただけだったんですが。
5年目:独身VS子持ちの派閥ができる
5年目になり、謎の出産ラッシュがきました。
崩れたのは部下に仕事を教えるようになった、5年目の春でした。
- 産休・育休の穴埋めと、嫌がらせと、派閥。全部が同じ年に重なった
- 仕事は3人分に増えたのに、給与は据え置きのまま
- 「まだできる」と思っていたし、思い込もうともしていた。
正確に言うと、5年目に何か突発的に大きな事件があったわけじゃないんです。
産休・育休の穴埋め。苦手な人からの嫌がらせ、パワハラ。女性同士の派閥と、同調圧力。
ひとつずつなら、たぶん「どこにでもある話」で片付けられてしまう。
でも、それが全部、同じ年に来た。
パソコンを立ち上げて、昨日片付けたはずの伝票の山をまた見る。
終わらない。今日も終わらない。
それでも定時で上がろうとしていたのは、意地みたいなものだったと思います。ここで残業を認めたら、この量が「できる量」になってしまう気がして。この頃には、しんどいと感じるセンサーのほうが先に鈍っていました。
だから、まわりからは元気に見えていたはずです。普通に喋るし、普通に笑うし、月次もちゃんと合わせる。
自分でも「まだできる、まだ大丈夫」と思っていました。
(というより、思い込もうとしていた。)
そして、あの朝が来ます。
通勤電車で涙が止まらなくなった日
その日は朝の電車だった。
いつも通り、いつもの車両。
なのに、急に涙が出てきた。
原因がわからない。悲しいことがあったわけでもない。
ただ、涙だけが止まらない。慌てて下を向いて、マスクとマフラーで顔を隠した。
会社に着くころには止まっていたので、その日はそのまま働きました。
でも、次の日もまた出たんです。
その次の日も。「これはおかしい」と思いながら、それでも会社には行っていました。
行かないという選択肢が、当時の私にはなかったので。
精神科受診までの半年間
そんな状態で、さすがにどこか可笑しいなと思って近くの精神科を予約した。けど、「まだ大丈夫でしょ。疲れているだけなんだわ」と当日キャンセル。
涙が出てから、精神科に行くまで半年かかりました。
その間ずっと、帰ってきても眠れない。なんで行かなかったんだろうって、今なら思います。
でも当時は「行ったら本当に病気になってしまう」ような気がしていました。
受診をためらっている時間が、いちばんしんどい時期でした。
もし今、同じ状態の人がこれを読んでいるなら。私のように、半年待たなくていいです、と伝えたい。
精神科に行くか迷っている方は、こちらも読んでみてください


3回目の診察で「すぐに休んでください」と言われた日
やっと受診しました。
1回目、2回目は、正直よく覚えていません。聞かれたことに答えて、薬をもらって帰るだけ。
3回目の診察のときでした。先生に「すぐに休んでください」と言われたんです。
診断は、適応障害でした。
そのときの気持ちは、ショックというより、「やっぱりか」という納得感でした。
産休育休のフォローに疲れたというのもあったけど、それと同時に苦手な人からの嫌がらせもあった。女性ならではの派閥にうんざりしたし、同調圧力も疲れる。全ての要因が重なっての「適応障害」だったんだと今は思います。
その後、会社の規定いっぱいまで休職しました。
傷病手当金は、給与20万円に対して支給が約13万円。
家賃9万円の部屋には住み続けられなくて、4万円の部屋に引っ越しました。
結局、回復しきらないまま退職してしまうんですが。
休職中のお金のことは、生活費の内訳までこちらに書いています


経理事務×HSPが長く働くためにできること


ここまで読んで「経理はやめたほうがいいのかな」と思った方がいたら、それは違います。私が壊れたのは経理という仕事のせいではなく、環境と、抱え込んだ量の問題でした。ここでは経理×HSPが長く働くために何ができるかを整理します。
向いてる部分としんどい部分は別々に考えて
私がずっと混乱していたのは、この2つをごちゃ混ぜにしていたからです。
- 仕事の中身(数字・ルーティン・一人作業)
- 職場の環境(社風・人間関係・業務量)
- この2つを混ぜて考えない
しんどい=向いていない、と思っていました。
でも実際は、仕事の中身は合っていたんです。
合っていなかったのは、職場の環境のほうでした。
向いてる部分と、しんどい部分は別々に考えていい。
もし今しんどい人がいたら、一度分けて考えてみてほしいです。
数字を扱うこと自体が嫌なのか。それとも、この職場の空気が嫌なのか。答えが後者なら、経理を諦める必要はないのかもしれません。
抱え込む前に出ていたサインを見逃さない
私の場合、はっきりしたサインがありました。
通勤電車の涙です。
でも、もっと前から小さいサインは出ていました。
- 日曜の夕方から動悸がする
- 職場の人のため息が異様に大きく聞こえる
- 家に帰っても仕事の場面が頭で再生される
- 「ミスしてないか」を寝る前に何度も確認したくなる
これ、当時は全部「疲れてるだけ」で片付けていたんですよね。
今思えば、体はずっと教えてくれていた。
似たようなサインがあれば、ぜひ無視しないでほしいなと切実に思います。
休職する前にどんなサインが出ていたか、17人の声をこちらにまとめました


自分に合う環境の選び方
もしHSPさんが経理職を目指すなら、やっぱり給与よりも環境選びが重要だと思ってます。
- 経理部署に男性も何人か在籍している
- 都心部にあるベンチャー企業
- 社内のシステム化が進んでいる(基本メールが中心)
- 残業時間が月10時間以下
といった部分をきちんと見て、求人に応募することが大事です。
人によって合う環境は違うので参考程度にしてもらえると助かります。私の場合は、仕事を頼まれると断れないことが多かったので産休育休フォローが偏らない、男性社員が在籍しているところを今なら選びたいです。昭和気質の残る会社も、長く在籍している社員しかいないケースもあります。
なるべく自分と似た年齢の方がいる方が良いなら、ベンチャー企業はおすすめです。
簿記資格は経理以外でも活きる
もうひとつ伝えたいのが、簿記の資格は経理職以外でも役立つということです。
- 経理事務・会計事務所以外にも需要がある
- 在宅の記帳代行という選択肢がある
- フリーランスになったとき、自分の確定申告で確実に役立つ
私は今、Webライターや動画編集などフリーランスとして在宅で働いています。
経理とは全然違う仕事です。でも簿記の知識は、めちゃくちゃ役に立っています。
自分の確定申告が自分でできるんです。
これ、フリーランスになると本当に大きい。税理士さんに頼むお金がない時期に、自分で帳簿がつけられるというのは、それだけで武器でした。
だから、もし今「経理を辞めたら、この資格は無駄になる」と思っている人がいたら。そんなことは全然ないです。



おすすめは日商簿記3級ですが、転職に有利なのは2級のことが多かった。一般事務を目指す方なら3級でも充分です。
なぜ転職して会社員に戻らなかったのか
これもよく聞かれるので、リアルなところをお伝えします。私は、人間関係で疲弊したからこそ、副業でやっていた在宅ワークを本業にしたかったんですよね。ただ、経理職で在宅ワークが可能なところは大手ぐらいしかありません。私は高卒なので、大手に応募資格すらないため、今はこのような形で働いています(大満足です)。
もし今後、在宅可能な経理職があるならば検討したいところです。ただ、今の仕事が楽しくて大好きなので、ずっと続けていきたいなぁと強く思っています。
まとめ|経理はHSPに向いてる、でも無理は禁物
最後に、この記事の内容をまとめます。
- 経理事務は「正確さ」「ルーティン業務」「一人で集中できる」という点でHSPに向いている面がある
- 一方で、決算期の緊張感・社風・業務量の偏りでしんどくなることがある
- 私は5年目に適応障害になり、休職を経て退職した
- 受診をためらっている半年間が、いちばんしんどかった
- 仕事の中身が合っているかと、環境が合っているかは分けて考えていい
- 簿記の資格は、経理職を離れても活き続ける
経理という仕事自体は、今でもHSPに向いている仕事だと思っています。
私が体調を崩したのは、経理という仕事そのものではなく、職場環境や業務量、そして抱え込みやすかった自分の働き方が重なったからだと思っています。
私は今でも、経理という仕事そのものは好きです。
だからもし経理を辞めるか迷っているなら、「仕事」と「職場」を分けて考えてみてください。「HSPだから経理に向いている」「HSPだから経理に向いていない」と一言では決められません。この記事が、自分に合う働き方を考えるきっかけになれば嬉しいです。
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