断りたい仕事なのに、つい『大丈夫です』と言ってしまう。すごく悲しいはずなのに、涙が出ない。
「自分でも何を感じているのか分からない。」そんな経験はありませんか?
私自身、HSP気質があり会社員として働いていた頃、いつの間にか感情に蓋をすることが当たり前になっていました。
「ネガティブな感情を出すのは良くないこと。」「我慢できる自分の方が大人。」そんなふうに思っていたんです。
その結果、私は自分が何がしたいのか分からなくなり、心も体も限界を迎えて適応障害で休職しました。
大人になるとなぜ、感情に蓋をしてしまうのでしょうか。
結論から言うと、「傷つくのが怖いから」という理由だけではありません。
私は、感情に蓋をするのは、自分を守るための自己防衛だけでなく、「そうした方がラクに生きられる」と学習したことが大きな理由だと感じています。
この記事では、
- 感情に蓋をする3つの理由
- 感情に蓋をしている人の特徴
- 私が感情を取り戻せた方法
を、実体験を交えながらお話しします。
HSPの私が感情に蓋をしていたときのサイン
まずは、自分が感情に蓋をしているかどうか確認してみましょう。
| どんな場面で | 感情に蓋をしているサイン |
|---|---|
| 人に返事をするとき | ・「大丈夫」が口癖になっている ・頼まれると断れない ・「別にいいよ」と言うことが多い ・自分の意見より相手を優先してしまう |
| 自分で決めるとき | ・「何食べたい?」と聞かれると困る ・休日になっても何をしたいか分からない |
| 気持ちが動いたとき | ・怒ることがほとんどない |
もし当てはまるものが多ければ、無意識のうちに自分の感情を後回しにしているのかもしれません。では、なぜそのような状態になるのでしょうか。
YODAKAでは深掘りします。
HSPに多い「感情に蓋をするクセ」が身につく3つの理由


理由①考えなくていい、ラクだから
私は、この理由が一番大きいと思っています。
「感情に蓋をする」と聞くと、「傷つくのが怖いから」と説明されることが多いですよね。
もちろん、それも理由の一つです。ですが、自分の感情を否定された経験をすると、人は毎回悲しんだり怒ったりすること自体に疲れてしまいます。毎回、自分の感情に向き合うのも面倒ですしね。
- 怒られる。
- 否定される。
- 我慢する。
そんな経験を繰り返していると、こう学習します。
「感情を感じない方がラクだ」
悲しみを感じなければ傷つかなくて済む。怒りを感じなければ人とぶつからなくて済む。本音を考えなければ迷わなくて済む。私自身もこうして少しずつ、自分の感情を感じないことが当たり前になっていきました。
最初は自分を守るためだったものが、いつの間にか「生きるクセ」になってしまうのです。


理由②相手を優先させるクセがついたから
HSPの気質がある人の中には、周囲の変化によく気づきます。
- 相手が困っていること。
- 空気が重くなっていること。
- 誰かが無理をしていること。
だからこそ、
「私がやった方が早い」「断ったら申し訳ない」「相手が喜ぶなら」
と、自分より相手を優先する場面が増えます。もちろん、思いやりはHSPの大きな魅力です。
でも、それが続くと、「私はどうしたい?」という問いを、自分にしなくなってしまいます。
相手の気持ちは分かるのに、私は何が食べたいのか、本当に行きたいのか?嫌じゃないのか?自分でも自分の気持ちが分からない時があります。相手を優先するあまり自分の気持ちをスルーしているのかもしれません。
なぜ職場の人間関係で疲れてしまうのか?アンケートの結果がこちら


理由③感情を出すのは悪いことだと思っていたから
私は子どもの頃から、「泣くのは弱い」「怒る人は子どもっぽい」「冷静な人の方が大人」
そんなイメージを持っています。
だから仕事で理不尽な事があっても泣いたりせず、本当は辛くても「大丈夫」と言う。
自分のミスじゃないのに別室に呼び出されて、1時間も怒られた時は本当に辛かったです。けど、感情的に怒る上司を目の前にすると、「こんな人にはなりたくない」思いから冷静さを保って「すみませんでした」の一言。
そうやって感情を押し込めることが「正しいこと」だと思っていたのです。
でも、本当は感情に良いも悪いもありません。
悲しいと感じることも、腹が立つことも、寂しいと思うことも、すべて自然な感情です。
感情を否定し続けると、自分自身まで否定してしまいます。
だからこそ、「こんな気持ちになってはいけない」と思うのではなく、「私は今、そう感じているんだな」と認めてあげることが大切なのだと、体調を壊してから実感しました。
| 理由 | どういうことか | 私の場合 |
|---|---|---|
| ①考えなくていい、ラクだから | 怒られる・否定される・我慢するをくり返すうちに「感じない方がラクだ」と学習する | 少しずつ、自分の感情を感じないことが当たり前になっていった |
| ②相手を優先させるクセがついたから | 周囲の変化によく気づくぶん、自分より相手を先に立ててしまう | 「私がやった方が早い」「断ったら申し訳ない」 |
| ③感情を出すのは悪いことだと思っていたから | 「泣くのは弱い」「怒る人は子どもっぽい」というイメージを持っていた | 自分のミスじゃないのに1時間怒られても、「すみませんでした」の一言 |
私も感情に蓋をしていました【実体験】
私が経理として働いていた頃、今思えば、私は「大丈夫」しか言えなくなっていました。
「嫌です」「疲れました」「休みたいです」これを言うと、わがままな人に見えると思って、
仕事を頼まれても、「できます。」
残業をお願いされても、「大丈夫です。」
本当は疲れていても、断るという選択肢が思い浮かびませんでした。
あと、仕事を断ると人事評価にも影響すると思っていた。仕事をサボるおじさん達の横で、一生懸命に取り組む社員の方が写りがいいのではないか。特に入社して1年目の頃は「サボるおじさん=若手時代に成果を出した人」という思い込みもあり、憧れたもんです。実態はそうでもないこともある。
で、自分がやりたかった仕事と任せられた仕事にギャップを感じるようになりました。
毎日、担当外の仕事をこなすことだけで精一杯。「あれ私は経理の仕事がやりたくて入社したよね」「何で営業の雑務をやっているんだ?」と。
休みの日になっても、仕事ばかり考えて何をしたら良いのか分からない。
好きなことも、嫌なことも分からなくなっていたのです。
そして、限界は突然やってきました。
朝、体が動かない。涙が止まらない。
「会社へ行かなきゃ」と思うのに、玄関から一歩も出られませんでした。
診断されたのは適応障害。
そのとき初めて、「私はずっと無理をしていたんだ」と気づいたのです。
今振り返ると、感情に蓋をしていたからこそ、自分の限界にも気づけなかったのだと思います。
私が適応障害になるまでの話はこちらで詳しくまとめています


感情に蓋をすると起こりやすいこと
自分の感情に蓋をすることは、自分を守ってくれる時もあります。
でも、それが長く続くと心や体に少しずつ影響が出てくる場合もあります。
例えば、私のケースでいうと
| 心に出るサイン | 体に出るサイン |
|---|---|
| ・何をしたいのか分からなくなる ・突然涙があふれる ・人間関係が苦しくなる ・小さなことでも心が動かなくなる | ・疲れがなかなか取れない ・頭痛や胃痛など体の不調が増える |
私も、「まだ頑張れる」と思っていました。でも実際は、自分の気持ちを無視し続けた結果、心が悲鳴を上げていたのです。だからこそ、「まだ大丈夫」と思っている今こそ、自分の感情に目を向けることが大切だと感じています。
感情を取り戻すために私がやったこと




「本当は◯◯だけど」を心の中で付け足す
これは私が一番効果を感じた方法です。
例えば、乗り気じゃない新人歓迎会に誘われた時は「行きます!」ではなく、
「(本当は行きたくないけど)行きます。」と答える。
専門外の仕事を振られて困った時は「できます!」ではなく、
「(本当はやりたくないけど)、できます。」
このように心の中で「本当は」を付け足してみるだけです。すると、自分でも気づいていなかった本音が見えてきます。大事なのは、断ることではありません。
「本当は嫌なんだけど」と自分で気づくことです。
感情に気づけるようになると、自分の気持ちを大切にする練習が少しずつできるようになります。
YESかNOかを100点満点で考える
上記のことができるようになったら、次のステップとしてこれをやってみてください。
90点以上のものだけを選ぶこと。
以前の私は、60点くらいの気持ちでも全部「YES」と答えていました。
「まあ嫌ではないし」「これでも仕事だから」
そんな理由で引き受けることが当たり前だったのです。
そこで参考になったのが、『エッセンシャル思考』という本で紹介されていた考え方でした。
90点以上と思えるものだけを選ぶ。
最初は難しく感じると思うので、100点満点で採点することから始めてみてください。
「これは95点」「これは50点」
慣れてきたら、90点以上のものしか引き受けないようにしましょう。


私もこの考えで、自分の気持ちが少しずつ見えるようになりました。今では、以前よりも「本当はやりたくない」が見えてきたし、やりたくない事がわかると「やりたいこと」が明確になるのが分かった。自分でも大きな発見だと思います。
安心して話せる人を見つける
感情は、安心できる場所でないと出てきません。振り返ると私は、自分の話ばかりする人や批判的な人、すぐに否定する人には自分の気持ちを話せませんでした。
逆に、少し会話にスキ間があって、最後まで話を聞いてくれる人には、不思議と自分の気持ちを話せたのです。
すべての人に本音を話す必要はありません。
一人でも、「この人なら大丈夫」と思える相手がいるだけで安心できます。
落ち着いて会話ができる人を見つけて、自分の感情を伝える練習を始めてみましょう。
感情に蓋をする自分を責めなくて大丈夫
最後にこの記事で私が伝えたいのは、感情に蓋をしてしまったのは、あなたが弱いからではないという事です。
それは、そのときのあなたが生き抜くために身につけた方法だったのだと思います。だから、過去の自分を責める必要は全然なくて無理に自分を変えようとしなくても大丈夫です。
また、本音をすべて言える人になることが正解でもゴールでもありません。
時には感情を抑えて、我慢が必要な場面もあります。
大切なのは、「我慢していることに自分で気づける」ことです。
「私は今、本当は嫌なんだ。」
「私は疲れているんだ」
そうやって自分の感情を認められるだけでも全然違うと思います。



焦らなくても大丈夫。少しずつ、自分の気持ちを取り戻していけばいいのです。
よくある質問(FAQ)
HSPはみんな感情に蓋をしますか?
いいえ、全員ではありません。育った環境や経験、人間関係などによって大きく変わります。HSPだからではなく、「感情を出せない環境が続いたこと」が影響している場合もあります。
感情が分からないのは病気ですか?
強いストレスや心の疲れによって、自分の感情が分からなくなることがあります。
長期間続いたり、日常生活に支障が出たりしている場合は、心療内科やカウンセリングなど専門家へ相談することも大切な選択肢です。
自己防衛は治りますか?
「治す」というより、「付き合い方を覚える」という表現の方が近いと私は思います。
自分の感情に気づく練習を続けることで、本音を少しずつ感じられるようになる人は多いでしょう。
まとめ:本音を全て話すことだけが正解じゃない
「自分の気持ちが分からない。」
それは、あなたに感情がないからではありません。
むしろ今まで、自分の気持ちより周りを優先して生きてきた証なのかもしれません。
感情に蓋をしていた自分を責めなくて大丈夫です。
まずは「私は本当はどう感じているんだろう」と、自分に問いかけるところから始めてみてください。
自分に合う仕事を見つける方法はこちらの記事で紹介しています


本音を飲み込んでしまうクセの続きは、こちらの記事にも書いています


相談先の例:厚生労働省「こころの耳」(働く人のメンタルヘルス・ポータルサイト)










